目的
第1条 この条例は、宮城県民の生命・暮らし、子ども達の未来に重大な影響を与える東北電力女川原子力発電所2号機の稼働の是非について、県民一人ひとりが当事者として考え、その意思を示すための公正かつ民主的な手続きを確保することにより、中長期的エネルギー政策とそれを基軸とする地域経済・地域社会のあり方に係る住民自治を推進し、もって県政の民主的かつ健全な発展を図ることを目的とする。
県民投票
第2条 1 東北電力女川原子力発電所2号機の稼働の是非(以下、「投票案件」という。)に関する県民の意思を明らかにするため、県民による投票(以下「県民投票」という。)を行う。
2 県民投票は、県民の意思が正しく反映されるものでなければならない。この条例の解釈および運用は、県民の意思表明の自由を保障するとともに、県民の意思形成の機会拡大に資するよう、これを行わければならない。
県民投票の執行
第3条 1 県民投票は、知事が執行するものとする。
2 知事は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条の2の規定に基づき、協議により、その権限に属する県民投票の管理および執行に関する事務を宮城県選挙管理委員会(以下「選挙管理委員会」という。)ならびに宮城県内の市町村および各市区町村の選挙管理委員会に委任するものとする。
県民投票の期日
第4条 1 県民投票の期日(以下「投票期日」という。)は、国が東北電力女川原子力発電所2号機に対して原子炉設置変更許可を出してから、知事が原子炉設置変更への事前了解の申し入れに対して東北電力に回答するまでの期間において、知事が定める。
2 知事は、前項の規定により投票日を定めた時は、選挙管理委員会に対して、速やかに通知しなければならない。
県民投票の公示
第5条 選挙管理委員会は、前条の規定による通知を受けたときは、投票日の7日前までにこれを告示しなければならない。
投票資格者
第6条 1 県民投票における投票の資格を有する者(以下「投票資格者」という。)は、投票日において宮城県内の市町村に住所を有し、次の各号のいずれかに該当する者であって、規則で定めるところにより調製する投票資格者名簿に登録された者とする。
(1)年齢満18歳以上の日本国籍を有する者で、その者に係る宮城県内の市町村の住民票が作成された日(他の都道府県から県内の市町村に住所を移した者で住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第22条の規定により届け出をしたものについては、当該届出をした日)から引き続き3月以上、当該市町村の住民基本台帳に記載されているもの(宮城県内で当該住民票の異動があった場合も含む。)
2 次の各号に掲げる者は、県民投票の投票権を有しない。
(1)禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者。
(2)禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
投票資格者名簿
第7条 1 県民投票を行うに当たって、県は市町村に対して県民投票の実施に関わる事務の取扱の委任に関わる協議を申し入れ、市町村の選挙管理委員会が前条の規定に関して投票資格者名簿を調製し、県民投票を実施できるようにしなければならない。
2 投票資格者名簿は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)をもって調製することができる。
3 その他、投票資格者名簿の調製に関し必要な事項は、規則で定める。
一人一票・秘密投票
第8条 県民投票は秘密投票とし、投票は一人一票とする。
投票期日・自書投票の原則
第9条 投票資格者は自ら、投票期日に、規則で定める県民投票を行う場所(以下、投票所という。)に行き、投票資格者名簿又はその抄本の対照を経て、投票しなければならない。
期日前投票・不在者投票
第10条 1 前条の規定に関わらず、投票期日に自ら投票所に行くことが出来ない投票資格者は、第5条に定める県民投票の告示後、期日前投票又は不在者投票を行なうことができる。
2 期日前投票及び不在者投票に関し必要な事項は、規則で定める。
投票用紙の交付及び様式
第11条 1 投票用紙は、投票期日、投票所において投票人に交付しなければならない。
2 投票用紙には予め、賛成の文字及び反対の文字を印刷しなければならない。
3 投票用紙の様式に関し必要な事項は、規則で定める。
投票の方式
第12条 投票人は、東北電力女川原子力発電所2号機の稼働に賛成するときは投票用紙の賛成欄に、反対するときは投票用紙の反対欄に、自ら◯の記号を記載して、投票箱に入れなければならない。
代理投票・点字投票
第13条 1 身体の故障その他の事由により、自ら投票用紙に◯の記号を記載することができない投票人は、代理投票をすることができる。
2 点字による投票の方法は、規則で定める。
投票の効力の決定
第14条 投票の効力の決定に当たっては、次条の規定の趣旨に著しく反しない限りにおいて、その投票をした者の意思が客観的に明らかであれば、その投票を有効とする。
無効投票
第15条 次の各号のいずれかに該当する投票は、無効とする。
(1) 所定の投票用紙を用いないもの
(2) 〇の記号以外の事項を記載したもの
(3) 〇の記号のほか、他事を記載したもの
(4) 〇の記号を投票用紙の賛成欄及び反対欄に重複して記載したもの
(5) 〇の記号を投票用紙のいずれの選択肢の欄に記載したのか判別し難いもの
(6) 何も記載していないもの
県民投票の事務
第16条 1 知事は、県民投票に当たり、有権者の投票行動に資する県民投票公報の作成、県民投票広報広告その他県民投票の広報に関し必要な事務を行う。
2 県民投票公報及び県民投票広報広告の原稿を作成する場合には、賛成意見及び反対意見を公平かつ平等に扱わなければならない。
3 県民投票公報は、投票資格者名簿に登録された者の属する各世帯に対して、投票期日の7日前までに、配布しなければならない。
県民投票広報協議会
第17条 1 宮城県議会に、県民投票広報協議会を置く。
2 県民投票広報協議会の員数は15名とする。委員は、宮城県議会会派の所属議員数の比率により各会派に割り当て選任する。
3 県民投票広報協議会は、知事が県民投票公報の原稿を作成するにあたり、意見を述べることができる。
県民投票広報協議会の議事運営
第18条 県民投票広報協議会の議事、運営その他の事項は、各会派が協議の上定める。
県民投票運動及びその規制
第19条 1 何人も、県民投票に関する投票運動(投票案件に対し賛成または反対の投票をするよう、またはしないよう勧誘する行為。以下「県民投票運動」という。)、その他意見の表明を、自由に行うことができる。ただし、買収、脅迫等、県民の自由な意思を拘束し、または不当に干渉するものであってはならない。
2 公務員が行う県民投票運動および投票案件に係る意見の表明並びにこれらに必要な行為については、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第36条第1項から第3項までの規定、その他公務員の政治的行為を制限する法律上の規定は、適用しない。
投票及び開票
第20条 前条までに定めるもののほか、投票時間、投票場所、投票立会人、開票時間、開票場所、開票立会人その他県民投票の投票および開票に関し必要な規定は、規定で定めるほか、公職選挙法(昭和25年法律第100号)、公職選挙法施行令(昭和25年政令第89号)および公職選挙法施行規則(昭和25年総理府令第13号)の規程の例による。
投票結果の告示等
第21条 選挙管理委員会は、開票を行い投票結果が確定したときは、直ちにこれを公示するとともに、当該告示の内容を知事および県議会議長に報告しなければならない。
投票結果の尊重
第22条 県民投票において、有効投票総数の過半数の結果が、投票資格者総数の4分の1以上に達したときは、知事および県議会は投票結果を尊重し、東北電力、国および関係機関と協議して、東北電力女川原子力発電所2号機の稼働の是非に関して、投票結果に示された県民の意思が正しく反映されるように努めなければならない。
規則への委任状
第23条 1 この条例に定めるもののほか、県民投票の施行に関し必要事項は、規則で定める。
2 前項の規則は、本条例施行の日から、20日以内に制定しなければならない。
<附則>
施行期日
この条例は、公布の日から施行する。
失効
この条例は、知事が原子炉設置変更への事前了解の申し入れに対して東北電力に回答した翌日から起算して90日を経過した日にその効力を失う。